ITC Conference 2006

ITコーディネータ協会が主催する、年に一度の総会、『ITC Conference 2006』が大田区産業プラザにて行われました。
面白かったのは、東大の伊藤元重教授の「日本経済とIT経営」。

講演概要 : 
2001年のITバブル崩壊後、ICTが経済に広がる動きは新しいステージを迎えた。流通や金融などに代表される多くの非IT業種が、ICTを本格的に取り込んだ新たなビジネスモデルの構築に邁進するようになっている。こうした動きは、現在、世界経済が30年来の高成長を実現する背景にもあり、中国やインドなどを巻き込んだグローバル化の大きな波とも連動している。このセミナーではこうした技術革新によって、経済や産業がどのように変化しようとしているのか考察する。


私なりの要点は以下の通りです。

  • 技術革新が産業化につながるには時間が掛かり、IT革命が(伊藤教授は本質はすべての情報がデジタル化されるという意味で、『デジタル革命』と呼んでいらっしゃいます)が産業に及ぼすインパクトはこれから。
  • そしてそのデジタル革命が既存ビジネスをどう変えるのか、という観点では、ネットとリアル(特に情報提供機能)は補完か代替かのいずれかと考えられ、補完にはチャンスが代替にはリスクが存在する。
  • 例えば、自動車のディーラーは機能の固まり(情報提供、保険代行、修理メンテナンス等)だが、全て中途半端になりつつある。主たる機能である情報提供という点においてはインターネットの方が買い手主体の情報であり優れている。また他の機能として、保険代行はディーラーでは選択肢が狭い。また、試乗もディーラーであると取り扱いが無い店舗があったり、レンタカーの方が選択肢が広い。
  • つまり、ネットと代替な部分は消えて行く。このような観点だと、補完性のあるところにビジネスチャンスあり。


2006.11.12追記
初回に記載した時に、特に感想を書いていなかったです。
講演では、自動車のディーラー以外に、その他、航空、百貨店、大学など多岐に渡って、時代の変わり目についての話があり、一番刺激的でした。
一方、IT業界についてはあくまで経営を変えて行く道具を作る存在に陥るのではという話もありました。
それは、自動車、航空と、それを道具として使う物流、旅行などの関係に思えて、さほど悪い気はしません。
ただ、道具がどのように利用者に使われて行くのか、という点は徹底的に考えないとつまらないとは思いましたね。頑張ろうっと。